HP田武さん-01

【にんじん】作物自身の「生きる力」を活かしていく

HP田武さん-01

類農園・奈良農場で「にんじん」の栽培を担当している田中です。
類農園では、作物自身の「生きる力」を活かし、「農薬や化学肥料に頼らない」栽培に取り組んでいます。
その栽培過程をご紹介します!

一般的には、「農薬や化学肥料に頼らない栽培」を行っていくには、「土づくりが重要」と言われていますが、実は「種」も非常に重要な点なのです。

 

●その土地にあった「生命力」の強い「種」を育てていく
現在、スーパーに並んでいる野菜の大半は、「F1種」と呼ばれる種が使われています。
F1種は、人為的に作られた一代限りの雑種です。一代目の時にだけ現れる雑種強勢により、野菜の成長が早く、収穫量が増大します。さらに雑種の一代目は両親の優性形質だけが現れるため、形や大きさも揃います。現代の「大量生産・大量消費」うってつけの種です。
しかし、F1種は、人間が意図とした通りの性質を持つのは一代限りで、同じ性質の子孫を残すことができません。


また、F1種は、農薬や化学肥料を使うことを前提として開発されています。
F1種は、たくさんの肥料を使っても倒伏したり病気にならないよう耐肥性をもつように作られているので、化学肥料の使用量も多くなりがちになります。化学肥料を多く投入すれば作物はよく成長し、短期的には収量も増えるのですが、一方で雑草もよく繁茂し害虫も増えるため、必然的に農薬や除草剤の使用量も増える傾向にあります。

つまり、F1種は、1代限りの種のため、その土地の環境に適応していく力が弱く、必然的に農薬や化学肥料に頼らざるをえなくなるという構造があります。

HP・種-01

根本から「農薬や化学肥料に頼らない栽培」を行っていくためには、古来からその土地に適応してきた「固定種」を守り育てていく必要があるのではないかと、類農園では考えています。
固定種とは、一番よくできた野菜を選んで種をとり、その種を蒔いて育てた中からまた一番良いものを選んで種をとり、といったことを何代も繰り返して品種改良したものです。固定種は、長い年月をかけて気候や風土に適応し、その土地に根付いた生命力の強さを持っています。
この作物自身の「生命力」を活かす栽培をしていくことで、農薬や化学肥料に頼らない野菜づくりが可能になります。
類農園のにんじんでは、「固定種(在来種)」を取り入れ、自家採種にも取り組んでいます。

 

●微生物の働きで土はつくられる
山林の植物たちは、農薬や肥料に頼らくても、逞しく育っています。
それは「なぜなのか?」
その理由の一つは、土にあります。

HP団粒構造-01山林の土は、地表付近にいる糸状菌が、落ち葉や虫の死骸などの有機物を分解し、その分解過程で生成された有機物をその下に住んでいる細菌たちがさらに分解していくことで作られます。
また、糸状菌の菌糸は、ネバネバしているので、土壌粒子を団粒構造(砂ではなく、土団子状)に変えていきます。
こうして出来た土は、水や空気の通りがよく、柔らかくて水持ちもよく、植物の生育に適しています。
それ故、植物はしっかり根を張ることができ、土中の微生物と上手く協働しながら、水分・養分を十分に吸収し、病気や虫に負けず、逞しく育っていきます。
「この自然の仕組み・循環を、畑で再現できないか?」
そこから追求は始まっています。

 

●自然界の循環を畑で再現する
山林の循環を再現する上で、キーマンになるのが「糸状菌」です。糸状菌が活発に活動できると、それ以下の菌類も活動が活発化します。
そこで、類農園のにんじん畑には、種まきをする前に、糸状菌のエサとなる「炭素資材(木チップやきのこ栽培からでる廃菌床など、植物由来のもの)」を畑にすきこんでいます。にんじん畑で、主に使用している炭素素材は、えん麦(麦の一種)やコーヒー豆殻などです。深くすき込むのではなく、山林と同じで、地表10cmくらのところにすき込んでいきます。

HP炭素資材2-01
さらに、キーマンの「糸状菌」が、より活動できる環境を作っていきます。
糸状菌は水気を嫌うので、畑に侵入する水分を抑えるため、畑の回りに深い溝をぐるりと掘っています。

 

●害虫対策は土壌環境を見直すことから
にんじんの害虫被害で多いのが、土の中にいる微生物「センチュウ」によるものです。
「センチュウ」は増えすぎると、植物の根の中に入りこみ、植物が養分や水分を吸収するのを妨げ、最後には枯らしてしまいます。
類農園は、「キタネグサレセンチュウ」の被害を受け、にんじんの大半がダメになった時があります。

センチュウを害虫として、土壌にセンチュウ対策用の農薬を撒くのは簡単です。
しかし、農薬は「センチュウ」だけでなく、その他の有用な菌や生物たちも殺してしまうため、土の中の生態系が損なわれてしまう可能性があります。
土中では、微生物同士も互いに生存闘争を繰り広げています。
問題は、「センチュウ」ではなく、センチュウが「一人勝ちしていまう土壌環境」にありました。
そこで、センチュウを抑制する効果のある「エン麦」を栽培し、土中のセンチュウ密度を低下させ、土中内の微生物バランスを改善しました。土壌環境が改良された結果、立派なにんじんが出来ています!

HP害虫対策4-01

「自然界の仕組み・循環を理解し、再現できれば、農薬や化学肥料に頼らずとも、野菜は自分自身の力で育つ。」
それを確信しつつあります。

 

●「自然循環」の中で収穫された野菜は美味しい
作物は、実は、土壌の中の微生物の力を借りて成長します。
例えば、糸状菌の一種である「アーバスキュラー菌根菌」。作物の根に寄生し、その養分吸収を助け、植物の活性化を促します。
この写真にあるように、 植物本来の根は、オレンジ色の3本だけです。
あとの白いのは、全部『アーバスキュラー菌根菌』の菌糸です。

菌根菌
この菌糸は、広範囲から作物の成長に不可欠なリン酸などの栄養分を集めてきたり、土が乾燥している時は、地中深くから水を汲んで植物に与えてくれます。
さらに、違う種類の植物に同時に寄生して、ネットワークなども作ります!そうする代わりに、植物からは光合成で作られる糖分をもらっています。
自然循環の中では、作物と微生物は、協働して生きてます。
こうやって微生物と協働出来ている作物は、乾燥や病気に強くなるだけでなく、色つやもよく、濃厚な野菜本来の味のふくらみと、口の中ですっと消えるような後味を併せ持ちます。
その味が評価され、類農園の野菜は、レストランや料亭でも扱われています。


農園オススメのレシピを紹介します♪
にんじんは、蒸すと甘味がアップ!!

HPレシピ蒸し-01